ももろぐ。

みんな ありがとう！そして、ありがとう！
俺は先輩と一緒に帰ることが出来たぞ！

朝、会社に行ったら何故かいきなり先輩がいて、先輩がトイレに立ったのか分からないけれどとりあえず席を立ったので、「ここしか無い！」というタイミングで俺も席を立ち、偶然を装って先輩とばったり出くわし、「あれっ、なんでいるんですか？」と声を掛ける。この時点で手が震えた。その後、喫煙所行って煙草吸ったけど手の震えは止まらなかった。つまり、この時点で俺はすごく胸がドキドキしていた。ドキドキしていた！

定時後、飲み会が行われた。
俺は先輩と同じテーブルでは無かったので、飲み会中は先輩と会話することが出来なかった。
しかし、飲み会が終了後……俺は先輩に「駅までの行き方が分からないんで、連れてってくれませんか？」と声を掛けた。これ、実は俺、脳内で何回も練習してた。酔った勢いで頑張った。そんなに酔ってなかったけど。

それからなんやかんやあって、先輩と一緒に同じ電車に乗って、俺の最寄り駅まで帰りましたとさ。めでたしめでたし。
よくやったと思うよ、うん。俺、よくやった。男気を見せたね。俺、がんばった。声を掛けるのには毎回、すっごく勇気が必要なんだけど、今日はなんやかんやあったからいつも以上に勇気必要だった。
でも、俺がんばった。

今日がんばれたんだから次も大丈夫。そんな風に、上手くいけばいいのにね。

――その日、俺は勇気を出した。

以前から密かに好意を寄せていた先輩を、映画に誘おうという俺の計画。
成功する確率の方が高いということは何となく察していたけれど、如何せん俺には勇気がありませんでした。
俺はガラスよりも繊細な心を持っているので、断られてしまった場合どうしよう？などと考えてしまって、なかなか言えずに数日が過ぎました。

しかし、10月21日夕方、電車内にて。
俺は22年間生きてきた中で、一番勇気を出しました。

「あのっ、来月って予定とかあります？」
「来月ですか――」

先輩の話は長いので省略。

「暇な日とかあったら、ガンダム観に行きませんか？」

緊張し過ぎて脚が震えました。

「ガンダムって、静岡の…？」

……んんーっ？しっ、静岡……だと……！？

「いやいや違います。ユニコーンです。映画です！」
「あっ、いいですねー！」

先輩が答え終わってすぐに、俺の降りる駅に着いてしまったので、誘い逃げみたいな形になってしまいました。
電車を降りてからは、しばらくニヤけ顔が止まりませんでしたよ。
元々、ニヤけ顔なのにも関わらずニヤけてしまったので、あの時の俺はたぶん爆笑しているように見えたと思います。あの……なんかすいませんでした。

翌日の朝。
連絡先を交換してもらいました。
そして定時後、会社を共に出た俺と先輩は、夜の歓楽街へ消えて行った……。……んな訳あるか！！